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健康でいられる具体的行動5ステップ
昨今、超高齢化社会や健康長寿、人生100年時代などの話題をよく耳にするようになりました。
私も職業柄、これらのことについて考えることが多いです。
しかし、これらの話題はどこか、自分には関係のないことだと思ってはいないでしょうか。
遠い未来の話、その時に考えればいいかと大半の人が思っていると思います。
それよりも週末、誰とどこに出かけるかの方が大事だったりします。
でも、誰とどこに出かけるのも、健康の土台があってこそです。
病気になり、思うように行動できなければ、好きな事を好きなようにすることはできないのです。
ここでは、これから先も健康でいられる具体的行動5ステップについて話していきたいと思います。
- 22時就寝、5時起床
- 寝る90分前に入浴
- ストレッチ、筋トレ
- 毎日定時に体重測定(体重体組成計を使用)
- 腸内環境を整える
1. 22時就寝、5時起床
人生の1/3は睡眠時間と言われているくらい、睡眠についての重要性が指摘されています。
睡眠には5つの重要な役割があると言われています。
- 休息
- 記憶を整理して定着させる
- ホルモンバランスを調整する
- 免疫力を高め病気を防ぐ
- 脳の老廃物を除く
その中でも健康に影響する「免疫力を高め病気を防ぐ」が重要になってきます。
一般に睡眠が6時間未満になると、日常生活に支障が出たり病気が起こりやすくなると言われています。
これは免疫力の低下が関係しています。そして体や心に悪影響を及ぼしていきます。
- 活動の質が低下
- 体と心の病気になりやすくなる
活動の質が低下すると、疲れやすさ、集中力・注意力の低下、イライラ感、日中の眠気が起こり、日常生活に支障が出てきます。
体の病気は糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病を引き起こしやすくなります。
心の病気はうつ病になりやすくなります。
2002年のアメリカの調査において、6.5~7.4時間の人が最も長生きだったとの結果が出ています。
一般的に成人の場合は、1日7時間前後の睡眠が程よく、かつ十分と言えるのです。
2. 寝る90分前に入浴
しかし、22時にベッドで横になれば良いということでもありません。
質の良い眠りにつくためには、眠る前にリラックスする「移行期」が必要になります。
何事にも準備が必要です。
睡眠と関わりのあるのが自律神経です。
自律神経には体が活動しているときや緊張した時に優位になる交感神経と、リラックスしているときに優位になる副交感神経があります。
眠りにつく前後で交感神経優位の状態から、副交感神経優位の状態に切り替わります。
副交感神経が優位になると、体内がリラックスした状態になるため、血圧が下がり、呼吸数や脈拍数も低下して眠りが深くなります。
このように副交感神経優位の状態に向かう「移行期」をつくる工夫が必要になってきます。
移行期をつくるための工夫として、適温での入浴があげられます。
38~41℃程度の適温で15分お湯に入ると、副交感神経が優位になります。
適温での入浴は深部体温を少しだけ上昇させます。そして上昇した深部体温は90分かけて下がっていきます。
また表面の皮膚体温は深部体温を放散するため、上昇していきます。
深部体温が下がり、皮膚体温が上がる。その時に眠気が訪れるのです。
この状態が「移行期」です。
1,2をまとめると、
- 20時30分までにお風呂に入る。
- 湯舟には15分つかる。
- 22時前にはベッドに入る。
- 5時起床。
このステップを踏むことで、7時間前後の質の良い眠りを確保することができるのです。
3. ストレッチ、筋トレ
次はストレッチについてです。
ストレッチには6つの効果が明らかになっています。
- 筋、腱、靭帯の柔軟性を高める。
- 関節の可動域を大きくする。
- 末梢の血液循環を良くする。
- 心身をリラックスさせる。
- 運動神経ー筋の働きをスムーズにする。
- 筋ー知覚神経の働きをスムーズにする。
これらは競技力の向上やケガの予防につながります。
色々なストレッチ方法がありますが、基本的には20秒間、2~3セット行うことが推奨されています。
1日、5分も行えば体に対して良いことづくしではないでしょうか。
おすすめのストレッチ3選を載せておきます。
次に筋トレです。
老化は脚から始まると言われています。
一般的に加齢とともに歩く速さは遅くなる傾向にあります。
それは色々な原因が複合的に絡んで生じますが、中でも重要なのは筋力の低下です。
筋肉を構成する筋繊維には日常の動作で使われる長距離型と、走ったり力仕事などに使われる短距離型の2種類あります。
加齢とともに活動量が減ると、短距離型の筋繊維は細くなり、消えてなくなってしまします。筋繊維を維持するには日常の中で短距離型も使う活動が大切です。
筋肉量の維持、歩行能力の低下の予防には「速歩き」くらいの運動が勧められています。しかもA点レベルの運動によって歩行能力のみならず、老化や疾病予防に様々な効果をもたらすということが、最近明らかになってきました。
歩行や活動時間が多ければ多いほど、健康に良いというわけではありません。
B点の1万2,000歩・40分の速歩きでも、A点との効果の差はわずかという報告もあり、これ以上の運動は逆に免疫機能のリスクを下げるとも言われています。
「1日8,000歩、うち速歩き20分」は特別なトレーニングではありません。
連続して行う必要はありません。
朝と夜と分けても十分効果があります。
一つの有効な目標として、多くの人々が無理なく日常生活に活かせるようになればと思います。
他にも体幹・上肢・下肢に分けておすすめの筋トレを紹介しておきます。
4. 毎日定時に体重測定(体重体組成計を使用)
近年、壮年期(40~64歳)の肥満者が増加し、肥満関連疾患である糖尿病も増加傾向にあります。
肥満の中でも、内臓脂肪型肥満と名付けられたメタボリック シンドロームはインスリンの抵抗性、高脂血症、低HDLコレステロール血症、高血圧を合併して動脈硬化のハイリスク群と認知されています。
これだけ聞いただけでも、メタボリック シンドロームは「病気の総合デパートや~」「お腹の中が宝石箱でいっぱいや~、ドクロマークやけど」など、聞こえてきそうです。
そうならないためにも、毎日の体重測定は欠かせません。
一日の中でも体重の増減があるので、毎日定時に行いましょう。
また、近年は体重体組成がありますので、そちらをお勧めします。
これは、
- 体重
- 体脂肪率
- 内臓脂肪レベル
- 皮下脂肪率
- 基礎代謝
- 骨格筋率
- BMI
- 体年齢
これらがまるっと分かる優れものです。
これだけ分かれば、毎日の健康チェックに申し分ありません。
この中で、BMIは高すぎても低すぎても死亡リスクを上昇させると言われています。
目標とするBMIを年齢ごとに載せておきますので、参考にしてください。
5. 腸内環境を整える
現代人は大腸がんや潰瘍性大腸炎の増加など、腸内環境の悪化による問題を抱えています。
その原因の一つが「腸の冷え」。これは外気の温度やストレスによって腸内環境が悪化して起こります。
そこで重要なのが、腸を温めることです。
腸を温めることで6つの良いことがあります。
- 免疫力がアップして病気になりにくい!
- 便秘解消でスッキリやせる!
- 抗酸化作用と代謝が上がってつるつる美肌に!
- 毒素を排出してデトックス!
- コレステロールの吸収や血糖値の上昇を抑える!
- 腸ストレスを解消して体も心も元気に!
腸の健康と体の健康は密接に関係しています。
食べ物は胃で吸収され、栄養分が消化されてから、腸へ運ばれます。
まず小腸で胃の残りをさらに消化し、栄養分を吸収します。
次に大腸で老廃物の水分を吸収してから、便として排出します。
つまり、胃で消化・吸収されなかった残りの処理をするのが小腸と大腸の役割であり、ここがスムーズに機能せずに便秘になると、体に不要な老廃物が溜まってしまいます。
すると腹痛や胸やけが起こり、口臭や体臭が強くなり、肌荒れやむくみにもつながって、さらには体内の免疫機能が弱まる結果に。
腸の健康を保つことは、あなた自身の健康にもつながるのです。
免疫の6割は腸に集中しています。
人の体には、体内に侵入した異物や細菌、ウイルスを排除する機能が備わっています。
それは「免疫」と呼ばれ、主に免疫細胞がその機能を担っています。
中でも白血球中の「リンパ球」は免疫の要です。
腸内にはこのリンパ球の60%以上が存在するのです。
つまり、腸内環境を整えると、免疫力アップにつながり病気になりにくいのです。
では腸内環境を整えたり、腸を温めるにはどうすれば良いのでしょうか。
重要なのは食生活です。
次に食事のポイント8つを紹介します。
- 水分をたっぷりとる
- 食物繊維の多い野菜をたくさん食べる
- エキストラバージンオリーブオイル(以下、EXVオリーブオイル)などオレイン酸の多い食事
- 食物性乳酸菌などの発酵食品
- マグネシウム・カルシウムを取り入れる
- ビタミンC・ファイトケミカルが多い食材
- グルタミン、β-グルカンを効果的に摂る
- 甘味はなるべくオリゴ糖で補う
水分をたっぷりとる
起床後すぐにコップ1杯の冷たい水を飲むと、大腸にぜん動運動開始の信号が送られます。水分は便を柔らかくするので、意識的に摂取を。
水分量は1日あたり1.5~2Lが目安です。
そのうち大腸に到達するのは100ml以下となります。
食物繊維の多い野菜をたくさん食べる
不溶性と水溶性の2種類があり「不溶性2:水溶性1」の割合でバランスよく食べることが大事です。
不溶性だけではかえって便が硬くなってしまいます。
不溶性の食材は豆類、ごぼう、さいといもなど。水溶性の食材は海藻類、きのこ類などです。
EXVオリーブオイルなどオレイン酸の多い食事
オレイン酸は小腸で吸収されにくいため、小腸内に残って刺激し、便の滑りをよくするので便秘や停滞腸に効果的。
オイル類(オリーブオイル、キャノーラ油など)、ナッツ類、アボカドなどに含まれます。
食物性乳酸菌などの発酵食品
発酵食品に多く生育する「食物性乳酸菌」は、生命力が強いため胃や腸で死滅せずに生きたまま届き、腸内細菌のバランスを整えます。
漬け物、みそ、納豆、キムチ、ザワークラウト、しょうゆ、酒などに含まれます。
マグネシウム・カルシウムを取り入れる
マグネシウムは腸管の粘膜を守るほか、便の元をやわらかくする。カルシウムは大腸がんを引き起こす胆汁酸を排出する効果があります。
マグネシウムは玄米、魚介類、ひじき、納豆などに含まれます。カルシウムは乳製品、豆類、海藻類などに含まれます。
ビタミンC・ファイトケミカルが多い食材
体内をサビつかせる活性酵素を除去する抗酸化作用を持つほか、発がん物質の抑制、免疫力を高める効果も持っています。
EXVオリーブオイル、赤ワイン、緑茶、トマト、ブロッコリー、きのこ類、 にんにくなどに含まれます。
グルタミン、β-グルカンを効果的に摂る
グルタミンは腸管のエネルギー源。また、腸の免疫作用を高めます。β-グルカンは免疫力アップに効果的。
グルタミンは生肉、生魚、生卵など。β-グルカンは大麦、きのこ類などに含まれます。
甘みはなるべくオリゴ糖で補う
オリゴ糖は分解されずに大腸に達し、善玉菌であるビフィズス菌の栄養となって、増殖させる作用があるため、腸内環境の改善に有効です。
ねぎ、キャベツ、ごぼう、納豆、バナナ、りんごなどに含まれます。市販のオリゴ糖でもオッケーです。
まとめ
- 22時就寝、5時起床
- 寝る90分前に入浴
- ストレッチ、筋トレ
- 毎日定時に体重測定(体組成計)
- 腸内環境を整える
健康でいられる具体的行動5ステップ、お分かりいただけたでしょうか。
私はここ3年間、1~5の行動をとり、体調を崩すことがなくなりました。
体重体組成計にのれば、体年齢は22歳(実際は42歳)と表示されます。
これまでの人生で今が一番健康的だと自信を持って言えます。
おかげで、家族とキャンプやスノーボード、バドミントンなど一緒に楽しめています。
もし、健康状態に不安があるのなら、どれか一つでも実践してみてはいかがでしょうか。
もちろん、定期的な健康診断や、不調があった時の受診行動を適切に行った上での話になります。
【参考・引用文献】
健康長寿と睡眠について
メディカルストレッチング-筋学からみた関節疾患の運動療法-
「1日8,000歩、20分の速歩き」が健康のカギ
健康学習と自己決定に基づく肥満改善プログラムの開発と評価
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