健康

膝を痛くしない!イキイキとした生活を送るために

年齢を重ねるにつれ膝の痛みに悩まれる方が増えてきます。

変形性膝関節症は、痛みや歩きにくくなるなど生活で困ったことが多くなる疾患です。

この疾患の予防や進行を緩やかにするために、運動が有効とされています。

イキイキとした生活を送るために、今からできることがあります。

本記事では、変形性膝関節症の症状や原因、そして効果的な運動療法などを紹介していきます。

膝の痛みに悩まされている方もそうでない方も、ぜひこの記事を参考にして、素敵に年を重ねていきましょう。

変形性膝関節症とは?

変形性膝関節症は、膝の軟骨が徐々に減少して、変形したり骨がこすれて痛みが起こる一般的な関節疾患です。

この病気は、加齢や過度のストレス、遺伝的要因、過体重、関節の負傷などが原因で発症することがあります。

どのような症状が起こるか?

変形性膝関節症の一般的な症状は以下の通りです:

  1. 膝の痛み: 関節の損傷が進行すると、膝に痛みが生じます。痛みは歩行や階段の昇降などの動作で悪化することがあります。
  2. 腫れ: 関節の炎症や過度のストレスが原因で、膝周辺が腫れることがあります。
  3. 関節の動きの制限: 膝関節の損傷が進行すると、関節の動きが制限され、柔軟性が低下します。これにより、日常生活の動作が困難になることがあります。
  4. 膝の形状の変化: 骨や軟骨の変形により、膝の形状が変わることがあります。これは、膝が曲がったり、外側や内側に弯曲したりすることがあります。
  5. 膝の「ガリガリ」音: 関節内の軟骨がすり減ることで、膝を動かす際に「ガリガリ」という音が聞こえることがあります。

これらの症状は個人差があり、重症度も異なります。変形性膝関節症が進行すると、これらの症状が悪化し、日常生活に支障をきたすことがあります。早期の段階で適切な治療を受けることが、症状の進行を遅らせる上で重要です。

セルフチェック

膝の健康自己チェック

1膝を曲げたりのばしたりしていると、膝の中でゴリッゴリッ、コツコツ、ギュッギュッといった音がするはいいいえ
2階段をおりているときに、不意に膝の力がカクンと抜けてしまうはいいいえ
3和式トイレのあと、立ち上がるのが苦痛。正座も苦痛であるはいいいえ
4膝が完全にのびきらず、平らなところで足をのばしても膝の裏が床にぴったりつかないはいいいえ
5以前は「がにまた」ではなかったのに「気をつけ」の姿勢をとると、両膝のあいだがこぶし1つ分離れるはいいいえ
6正座がまるっきりできないはいいいえ
7運動をし始めの時には膝が痛むが、続けていると痛みがとれていることが多いはいいいえ
8膝を曲げると、お皿の上が張った感じがして、少し膝が腫れている感じがするはいいいえ
9片手でふとももから膝に向けてしごいて、片方の手でおさら部分を押すとおさらがコツコツ浮いた感じがするはいいいえ
10左右の膝のかたちが違うはいいいえ
11おさらが外側にずれているような感じがするはいいいえ
12膝がガクガクするので、いつも不安定はいいいえ

チェック結果

1~3が「はい」の場合:半月板という膝の軟骨が断裂したときによくある症状です。

4~7が「はいの場合:変形性膝関節症と診断されることが多く、これは老化現象による症状です。

8~10が「はい」の場合:膝の中に水がたまっている可能性があります。変形性膝関節症や関節リウマチの典型的な症状です。

11~12が「はい」の場合:膝の靭帯が切れている可能性があります。膝蓋骨亜脱臼や膝不安定状態のときによくみられます。

医学的治療

変形性膝関節症の治療方法は患者の症状や病状に応じて異なりますが、非外科的な治療法が最初に試みられます。

運動療法はその中でも効果的な方法で、筋力トレーニングやストレッチ、有酸素運動が含まれます。

これらの運動は、関節の柔軟性を向上させ、筋力を強化し、痛みを軽減します。

加えて、適切な体重管理、温熱療法、冷却療法、痛み止め薬や抗炎症薬の使用、そしてサポート具の使用なども助けになります。

症状が重度で非外科的治療が効果がない場合は、関節鏡検査や関節置換術などの外科手術が検討されることがあります。

変形性膝関節症は完全に治すことは難しいですが、治療法を適切に実行することで、痛みの軽減や関節の機能の改善が期待できます。

医師や理学療法士と相談しながら、最適な治療法を見つけることが大切です。

ここでは、理学療法について詳しく説明していきます。

理学療法

理学療法には、運動療法・徒手療法・物理療法があります。

運動療法

運動療法の目的は、膝関節を含めてさまざまな関節やからだ全体に対して適切な運動を習得することです。

徒手療法

徒手療法は、理学療法士の手によって直接行われ、関節の動きの改善や筋肉の柔軟性などの機能の改善を図ります。

物理療法

装具療法

足底板(左)と膝関節装具(右)

自宅で出来る運動療法

膝関節の動きを大きくしましょう

痛みや辛さを感じる強さのストレッチは逆効果です。

痛みのない側も同様にストレッチを行いましょう

ストレッチは呼吸を止めずに無理のない回数でゆっくり行いましょう。

動きが悪い方や痛みが強い方は、理学療法士や医師にご相談ください。

①膝の曲がりを良くしましょう

②太ももの裏側の筋肉を伸ばしましょう

③ふくらはぎの筋肉を伸ばしましょう

④太ももの内側の筋肉を伸ばしましょう

⑤太ももの前側の筋肉を伸ばしましょう

膝関節を支える筋肉を鍛えましょう

痛みや疲労感を感じた場合はすぐに中止してください。

強度強めは理学療法士や医師に相談してから行ってください。

各3秒ずつ、1セット15~20回で、2~3セット行いましょう。

①太ももの前の筋肉を鍛える

②太ももの外側の筋肉を鍛える

③太ももの裏の筋肉を鍛える

④足全体の筋肉を鍛える

有酸素運動で体力の低下を防ぎましょう

ウォーキング・ラジオ体操

ノルディックウォーキング・スイミング

サイクリング・エアロビクス

生活の工夫

変形性膝関節症は変形があったとしても、必ず痛みが出るわけではありません。

痛みがあってもなくても、工夫により症状の進行が抑えられ、生活がしやすくなります。

環境整備

高い段差の昇り降りは膝への負担が大きくなります。

簡易的な手すりを取り付けたり、段差を解消するためにスロープを設置するのも方法の一つです。

また、低い段差からの立ち上がりも、膝に負担が掛かりますので注意しましょう。

体重の増加は膝への負担を大きくします。

膝に負担をかけずに行うことができる自転車、水中ウォーキングなどで体重を減らしていきましょう。

まとめ

変形性膝関節症についてお分かりいただけましたか。

ここでは以下の点について解説してきました。

  • 変形性膝関節症とは
  • セルフチェック
  • 医学的治療
  • 理学療法
  • 自宅で出来る運動療法
  • 生活の工夫

まずはこのような疾患があるということを理解することが大事だと思います。

もし自分がこのような症状で困っているのであれば、自分でできることを試してみて下さい。

症状が軽快すれば幸いです。

自宅でできる運動療法を行って効果がない場合は速やかに中止し、医療機関への受診をお勧めします。

【参考・引用文献】

理学療法ハンドブック シリーズ⑦ 変形性膝関節症

特集/膝関節リハビリテーション診療マニュアル 変形性膝関節症に対する保存療法

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