目次
はじめに
今回は心臓の健康とその大切さについて一緒に考えてみたいと思います。
「心臓病」という言葉、耳にしたことはあるでしょうか?
それは心筋梗塞や心不全など、様々な疾患を包含する大きなカテゴリーです。
心筋梗塞とは、心臓を栄養している冠動脈が詰まり、心筋(心臓の筋肉)の一部が酸欠状態になり死んでしまう疾患です。
一方、心不全は心臓のポンプ機能が低下し、体全体への血液の供給が十分に行われない状態を指します。
これらの疾患は深刻であり、生命に影響を及ぼす可能性がありますが、それらは予防可能なものでもあるのです。
適切な運動、健康的な食事、適切な服薬など、実は私たちの日常生活の中でコントロールできる要素が大きく影響します。
この記事を通じて、心筋梗塞と心不全の予防について、皆さんと一緒に学んでいきたいと思います。
心臓病という大きなテーマに向き合い、自分自身の健康を守るための知識を深めていきましょう。
皆さんの心臓の健康を守る旅は、ここから始まります。
一緒に学び、予防し、健康な体をキープしましょう!
心疾患とは
予防の必要性
心筋梗塞や心不全等の心疾患は命にかかわる病気で、日本人の死亡原因の2位です。
また心不全は年々増加しています。
心筋梗塞や心不全は一度発症すると再発する危険性の高い病気なので、予防することが大切です。
運動療法を中心とした心臓リハビリテーションを行うことで、発症や再発を予防することもできます。
心筋梗塞とは
心筋に酸素や栄養を送る冠動脈が詰まり、心筋が壊死した病態を心筋梗塞といいます。
急性心筋梗塞では約30%の人が死亡しており、命にかかわる重大な病気です。
心筋梗塞は冠動脈内にできたプラークの被膜が破れ、血栓化することにより血管内腔が完全に詰まり、その部位より先の心筋は壊死してしまいます。
詰まりは心臓内のどの血管でも起こる可能性があります。
心筋梗塞の症状
心筋梗塞の早期発見と対応
心筋梗塞の症状が出現し、心筋梗塞が疑われる場合は直ちに119番に電話し、救急車を呼んでください。
心筋梗塞は早期発見、早期治療が救命や症状の悪化を避けるために大変重要です。
普段から「胸の苦しさ」や「胸のあたりを圧迫されるような痛み」などの症状がある場合は狭心症(冠動脈の中が狭くなり、血液が流れにくくなった状態)の可能性もあるため、早めに受診するようにしましょう。
心不全とは
心不全とは心臓が悪いために、息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなり、生命を縮める病気です。
心不全の症状
血液の渋滞や全身の臓器に十分な血液が送れなくなり、さまざまな症状が出現します。
心不全への対応
もし、心不全症状が疑われたときは、早期受診することで治療がスムーズとなり、入院加療が必要であっても安静治療期間が短くなります。
したがって、安静によって生じる筋力や体力の衰えが少なくなることにより、身の周りの動作を行える期間が長くなります。
心臓リハビリテーションとは
心臓リハビリテーションとは、心臓病の再発を予防するための取り組みで、自分の病気を知ることから始まり、運動療法、再発危険因子の管理、心のケアなどを行います。
患者さん一人に対して、医師、理学療法士、看護師、薬剤師、公認心理士など多くの医療専門職が関わることが心臓リハビリテーションの特徴です。
心筋梗塞と心不全の予防
運動・薬・食事
心疾患の予防には運動も重要ですが、薬や食事も重要です。
どれか一つだけでは効果が少ないためバランスよく取り組みましょう。
心筋梗塞に対しては冠危険因子と呼ばれる高血圧・脂質異常症・糖尿病・高尿酸血症などのコントロールが重要になります。
心不全に対してはもともとの心臓病の治療に加えて、薬や食事により水分管理や塩分管理を行い体に水が貯まることを防ぐ必要があります。
運動療法の目的と方法
運動療法は生活習慣病を予防・改善し、心筋梗塞などの心臓病の発病を予防し、また再発を防ぐ効果があります。
発症予防
心筋梗塞・心臓病の原因となる肥満・高血圧・糖尿病・メタボリック症候群などの改善に効果的な運動療法。
- 毎日30分以上、少なくとも週に3日
- 有酸素運動を中心に毎日合計で30分間以上を目標に実施する
- 運動療法以外の時間でもこまめに歩き、座ったままの生活を避ける
心疾患での寝たきり予防
心疾患で寝たきりにならず、健康寿命の改善に効果的な運動療法。
- 心電図などを確認し、安全性の確保をしながら段階的に運動の強さや量を増やす
再発予防
心筋梗塞の再発予防や心不全再入院予防などに効果的な運動療法
- 心肺運動負荷試験の結果に基づいた処方による有酸素運動を中心とした運動療法で、1日30分程度、週に3~4回、可能ならば毎日30分
自宅でできる運動療法
運動を行う前の確認
- 食事前後30分は運動を控えましょう
- 心筋梗塞、心不全の症状がみられるときは速やかに中止し受診しましょう。
有酸素運動
- 準備体操から始めていきます(ストレッチなどを5~10分程度)
- 体力にあった運動を選びます(表:ボルグ指数 「13:ややきつい」の運動を20~30分程度)
- 運動後は整理体操をしましょう(5~10分程度)
【ポイント】
- 運動の強さは「表:ボルグ指数」を目安にします。
- 運動は準備体操・整理体操を含めて60分程度を目安にします。
- 体力に合わせ2回に分けて実施しても良いでしょう。
- 週3~4回、可能なら毎日行いましょう。
*ご不明な点はかかりつけの医療機関の医師または理学療法士にご相談ください。
足の筋力をきたえる運動
痛みが出たり、痛みが増す時は速やかに中止します。
バランスが不安定な時は椅子や壁・手すりを持ちましょう。
【ポイント】
- 息はこらえず回数を数えながら運動しましょう。
- 10~15回を1セットとして。3セットを目標にしましょう。
- 体力に合わせて3セットを1日1~3回行いましょう。
- 頻度は週3回程度行いましょう。
まとめ
心臓病についてお分かりいただけましたでしょうか。
ここでは以下の点について解説してきました。
- 心疾患とは
- 心臓リハビリテーションとは
- 心筋梗塞と心不全の予防
- 自宅でできる運動療法
心臓病について知っていた方も知らなかった方も、予防の必要性を知ることができたのではないでしょうか。
心筋梗塞は早期発見が大事。心筋梗塞の症状かなと思ったら直ちに救急車を呼んでください。
心不全は繰り返さないことが大事。繰り返すと心臓へのダメージはどんどん大きくなります。
心筋梗塞・心不全を繰り返さないために、運動・薬・食事をバランスよく取り組み、いつまでも自分らしい生活を続けていこうではありませんか。
心臓病を知った今日が一番若い日です。
知ったあとは、行動できるかがカギとなります。
いつまでも若々しくいるために、できることはなるべくやっておきましょう。
それでは、また。